「棚卸しは大事なのは分かっているけど、忙しくてできていない」
多くの飲食店が、この状態に当てはまります。
日々の営業に追われ、仕込みや接客、発注に時間を使い、棚卸しは後回しになる。
これは決して珍しいことではありません。
しかし、この「やっていない状態」がどれだけ危険かを、具体的に理解している人は少ないのが現実です。
結論から言うと、棚卸しをしていない飲食店は、知らないうちに利益を失い続けています。
しかもその損失は、思っているよりもはるかに大きい可能性があります。
棚卸しをしないと何が起こるのか

棚卸しをしていない状態では、「本当の原価」が分かりません。
飲食店の原価には、2つの考え方があります。
- 理論原価(レシピ通りに計算した原価)
- 実際原価(仕入−在庫から算出される原価)
多くの店舗は、理論原価だけを見て判断しています。
しかし、現場では理論通りにはいきません。
実際には次のようなズレが発生しています。
- 食材の廃棄
- 仕込みすぎによるロス
- 計量の誤差
- 在庫管理の甘さ
- 使い忘れや期限切れ
これらはすべて、「見えないコスト」です。
そして棚卸しをしない限り、このズレに気づくことはできません。
実際にどれくらい損しているのか

では、具体的にどれくらいの損失が発生しているのでしょうか。
一般的に、棚卸しをしていない飲食店では、原価に3〜10%程度のズレがあると言われています。
例えば、月商300万円の店舗を想定してみましょう。
- 売上:300万円
- 原価率30% → 原価90万円
ここに5%のズレがあった場合
約15万円の損失になります。
これは1ヶ月の話です。
年間にすると
約180万円の利益が消えている計算になります。
もしズレが8%だった場合はどうでしょうか。
約24万円/月、年間で約288万円の損失になります。
つまり、棚卸しをしていないだけで、1年で数百万円単位の利益が消えている可能性があるのです。
なぜここまで損していても気づかないのか

ここで疑問が出てきます。
「そんなに損しているなら、なぜ気づかないのか?」
その理由は、ロスの発生の仕方にあります。
ロスは一度に大きく発生するわけではありません。
日々の営業の中で、少しずつ発生します。
例えば
- 少し余った食材を捨てる
- 仕込みすぎて余る
- 売れ残って廃棄する
- 使い切れずに期限切れになる
1回あたりの金額は小さいため、現場では問題視されません。
しかし、それが毎日続くとどうなるでしょうか。
1日500円のロスでも
月で約1万5千円、年間で18万円になります。
これが1000円、2000円と増えれば、損失はさらに大きくなります。
つまり、「小さなロスの積み重ね」が、気づかないうちに大きな損失を生んでいるのです。
棚卸しをしていない店の危険なサイン
もし次のような状態に当てはまる場合、すでに損失が発生している可能性があります。
- 原価率が月ごとにバラバラ
- 利益が安定しない
- 売上はあるのにお金が残らない
- 在庫量を把握していない
- 発注が感覚になっている
これらはすべて、「管理できていない状態」のサインです。
そしてこの状態では、ロスが発生していても気づくことができません。
今の時代はさらにリスクが高い
近年は、食材価格や物流費が上昇しています。
つまり、同じロスでも損失額は以前より大きくなっています。
例えば、以前は100円だった食材が120円になれば、同じ廃棄でも損失は1.2倍になります。
これまで見過ごせていたロスが、今は経営に大きな影響を与える時代になっています。
つまり、「棚卸しをしないリスク」は年々高くなっているのです。
まとめ
棚卸しをしていない状態は、「現状が分からないまま経営している状態」です。
原価のズレやロスは、気づかないまま利益を削り続けます。
- 原価は確実にズレる
- ロスは見えないまま積み重なる
- 気づいたときには大きな損失になっている
棚卸しは面倒な作業に見えますが、利益を守るためには欠かせないものです。
そしてこの差は、「やっているか」「やっていないか」で大きく分かれます。
もし今、棚卸しをしていないのであれば、一度立ち止まって考えてみてください。
知らないうちに、毎月数万円、年間で数百万円の利益を失っている可能性があります。



コメント