仕込みすぎが廃棄ロスになる理由 飲食店が見直すべきポイント

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飲食店の現場では、売り切れを防ぐために多めに仕込むことがあります。

ピーク時に足りなくなりたくない。お客様に迷惑をかけたくない。人気メニューを切らしたくない。スタッフが慌てないように余裕を持っておきたい。

こうした理由から、多めに仕込む判断は決して珍しくありません。

しかし、その「少し多め」が毎日続くと、売れ残り、品質低下、期限切れ、廃棄ロスにつながります。

仕込みすぎは、単なる作業量の問題ではありません。

仕入れた食材を売上に変えられず、原価だけが残ってしまう状態です。

つまり、仕込みすぎは飲食店の利益を静かに削る原因になります。

この記事では、仕込みすぎが廃棄ロスになる理由と、飲食店が見直すべき仕込み量の考え方を解説します。

仕込みすぎとは何か

仕込みすぎとは、実際の販売数や来店数に対して、必要以上に多く食材や商品を準備してしまうことです。

単に「たくさん作りすぎた」というだけではありません。

売上予測を見ずに毎日同じ量を仕込む、曜日や天候を考慮しない、前日の売れ残りを確認しない、予約状況を反映しない。このような状態も、仕込みすぎにつながります。

たとえば、カフェで毎日同じ数のサンドイッチを仕込んでいるとします。

平日と週末、雨の日と晴れの日、給料日前とイベント日では、来店数も売れ行きも変わります。

それにもかかわらず、毎日同じ数を仕込んでいれば、ある日は足りず、ある日は余るという状態になります。

余った分を翌日に使える場合もありますが、すべての食材が翌日に回せるわけではありません。

カット野菜、仕込み済みのソース、作り置きの副菜、サンドイッチ、スイーツ、テイクアウト商品などは、品質や衛生面の都合で使える期間が限られます。

つまり、仕込みすぎは売れ残りを生み、その売れ残りが廃棄ロスになる可能性を高めるのです。

仕込みすぎが廃棄ロスになる流れ

仕込みすぎが廃棄ロスになる流れは、とてもシンプルです。

まず、必要以上に多く仕込みます。

次に、想定より売れなかった分が残ります。

残った食材や商品は、時間が経つほど品質が落ちます。

翌日に使えないものは、最終的に廃棄になります。

たとえば、ランチ用の副菜を多めに仕込んだものの、雨で客数が伸びなかったとします。

その日の営業後に副菜が大量に残った場合、翌日にそのまま出せるとは限りません。

味や見た目が落ちることもありますし、衛生管理上、再利用できない場合もあります。

その結果、仕込んだ分の一部が売上にならず、廃棄されます。

ここで重要なのは、廃棄された食材にも仕入れコストがかかっているということです。

売れなかったからといって、仕入れ代が戻ってくるわけではありません。

つまり、仕込みすぎによる廃棄は、売上にならない原価です。

この状態が続くと、原価率は悪化します。

仕込みすぎは原価率を悪化させる

仕込みすぎによる廃棄ロスは、原価率を押し上げます。

原価率は、売上に対してどれくらい食材原価がかかっているかを見る数字です。

仕込んだ食材が売上になれば、原価は売上を作るためのコストになります。

しかし、仕込んだ食材が廃棄になれば、売上を作らないまま原価だけが発生します。

たとえば、1日2,000円分の仕込みロスが出ている場合、1ヶ月では約6万円、年間では約72万円になります。

1日5,000円なら、1ヶ月で約15万円、年間では約180万円です。

1回ごとの金額は小さく見えても、毎日続くと大きな差になります。

特に仕入れ価格が上がりやすい時期には、同じ量を捨てても以前より損失額が大きくなります。

売上を増やすことも大切ですが、売上にならない原価を減らすことも同じくらい重要です。

仕込みすぎを放置すると、忙しく働いているのに利益が残らない状態になりやすくなります。

仕込みすぎが起きる原因

仕込みすぎが起きる原因は、現場の注意不足だけではありません。

多くの場合、仕込み量を決めるための数字が見えていないことが原因です。

よくある原因は、次のようなものです。

  • 毎日同じ量を仕込んでいる
  • 曜日別の販売数を見ていない
  • 天候や予約状況を反映していない
  • 売れ残りや廃棄ロスを記録していない
  • 売り切れを怖がりすぎている
  • 仕込み担当者の感覚に頼っている
  • メニュー数が多く、仕込みが分散している
  • 使い回ししにくい食材が多い

特に注意したいのは、「いつもこれくらい仕込んでいるから」という判断です。

過去の経験は大切ですが、客数や売れ行きは日によって変わります。

季節、天気、曜日、周辺イベント、予約状況、給料日、連休前後など、飲食店の売上はさまざまな要因で変動します。

それを見ずに毎日同じ量を仕込むと、ロスが出やすくなります。

仕込み量を見直すときに見るべき数字

仕込み量を見直すときは、感覚だけでなく数字を見ることが大切です。

まず確認したいのは、過去の販売数です。

昨日いくつ売れたのか、先週の同じ曜日にいくつ売れたのか、雨の日はどれくらい減るのかを見ます。

次に、売れ残りや廃棄ロスを確認します。

どのメニューが余りやすいのか、どの曜日にロスが多いのか、どの食材が廃棄されやすいのかを見ます。

さらに、現在庫も確認します。

すでに残っている在庫があるのに追加で仕込むと、古い在庫の使い忘れや廃棄につながります。

仕込み量を決めるときに見るべき数字は、次の通りです。

  • 過去の販売数
  • 曜日別の販売数
  • 天候別の売れ行き
  • 予約数
  • 現在庫
  • 前日の売れ残り
  • 廃棄ロスの金額
  • ロスが多いメニュー

この中でも、まず始めやすいのは「前日の売れ残り」と「廃棄ロスの金額」です。

仕込みすぎを改善するには、どれだけ余ったのかを知る必要があります。

ロス高表で仕込みすぎを見える化する

仕込みすぎを改善するには、ロス高表が役立ちます。

ロス高表は、捨てた食材や商品の金額と理由を記録する表です。

仕込みすぎによるロスを見つけるには、廃棄理由を分けて記録することが大切です。

  • 仕込みすぎ
  • 売れ残り
  • 期限切れ
  • 発注しすぎ
  • 保管ミス
  • 調理ミス

このように理由を分けることで、どのロスが仕込み量に関係しているのかが見えてきます。

たとえば、毎週月曜日にサンドイッチの具材が余っているなら、月曜日の仕込み量を減らす判断ができます。

雨の日にスープが余りやすいなら、天候に合わせて仕込み量を変えることができます。

特定のデザートが毎日少しずつ売れ残るなら、仕込み数や販売方法を見直す必要があります。

記録がなければ、同じロスを繰り返してしまいます。

しかし、記録があれば「いつ」「何が」「いくら分」余っているのかが分かります。

それが仕込み量を改善する第一歩になります。

棚卸表と組み合わせるとさらに改善しやすい

ロス高表だけでも仕込みすぎの傾向は見えます。

しかし、棚卸表と組み合わせるとさらに改善しやすくなります。

棚卸表は、残っている在庫を見るための表です。

ロス高表は、捨てた金額と理由を見るための表です。

仕込みすぎを改善するには、この2つを分けて見ることが大切です。

棚卸表で在庫が多い食材を確認し、ロス高表でその食材が廃棄されていないかを確認します。

たとえば、棚卸表でレタスの在庫が毎月多く、ロス高表でもレタスの廃棄が多い場合、発注量か仕込み量が多すぎる可能性があります。

逆に、在庫は少ないのに仕込みロスが出ている場合は、仕込み後の販売予測や保存方法に問題があるかもしれません。

在庫は棚卸表で見る。

廃棄はロス高表で見る。

仕込み量は、その2つを見ながら調整する。

この流れを作ることで、感覚だけの仕込みから数字をもとにした仕込みへ変えやすくなります。

まとめ

仕込みすぎは、飲食店の利益を削る大きな原因になります。

多めに仕込むこと自体は、売り切れを防ぐために必要な場面もあります。

しかし、毎日同じ量を仕込んだり、売れ残りを記録していなかったりすると、仕込みすぎは廃棄ロスにつながります。

仕込みすぎを防ぐには、感覚だけで判断しないことが大切です。

  • 過去の販売数を見る
  • 曜日や天候を確認する
  • 予約状況を反映する
  • 前日の売れ残りを確認する
  • 廃棄ロスをロス高表に記録する
  • 現在庫を棚卸表で確認する

仕込みすぎは、記録しなければ改善できません。

どのメニューが、どの曜日に、いくら分ロスになっているのか。

それを見える化することで、仕込み量を少しずつ調整できます。

在庫は棚卸表で見る。

廃棄はロス高表で見る。

この2つを組み合わせることで、仕込みすぎによる廃棄ロスを減らし、原価率の安定と利益改善につなげることができます。

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